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明治四十三年の手帳から。

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明治四十三年のお中元
吉田雄次郎さんの手帳を預かり読む。
彼は明治十六年生まれで、松任農学校を出て、獣医をしていた人物。父親は元今枝家家臣。
俳句をし、北川洗耳と月見亭で会ってもいる。
二十七歳、前年に結婚している。新居は金沢長土塀一丁目である。

中元配り。七月十四日。
ソーメン三十巴、ソーメン二十五巴、反物、鯛、林檎二十五個
貰い物(お返し)
鯛、菓子、砂糖二斤、カステラ三本、椿餅三本、ヒブリ一物、鶏卵十五個
その月に、新しい自転車を購入。三十四円なり。

娘の初葉誕生に際して。五月二十九日。
貰い物(祝いとして)
生菓子五十個、鯛大一、鯛中二、鶏卵十五個、反物、菓子箱、鯛五など。
産婆さんには金五円と赤飯をやっている。

当時は鶏卵が貴重品であり、祝いの魚は鯛に限ったようである。
林檎や砂糖、反物を贈っているのも時代を感じさせる。ソーメンを贈るのは、現在と変わらない。
ヒブリは干物の鰤のことだと思われる。生菓子は手軽な土産物だったようだ。
金沢では、嫁入りにも生菓子は欠かせられない。
親族の出入りが多く、絆が強いのも、藩政時代の家を大事とする武士の交際の続きのようである。
城下町という土壌でもあると思われる。
また獣医の手帳らしく、金沢市内に牧舎が数多くあることが知れる。
男爵の本多政似家も牛を飼っていることに興味を覚える。

なおこの手帳は「刀備手帳」と名付けられている。
鉛筆が削れるようになっており、実用新案特許となっている。写真参照。

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