見たことがありますか。
真っ赤に燃えるような能登キリシマツツジ。
先月、能登・志賀町のオープンガーデンに行く。
老犬を連れて行く。助手席に座り、前を向き、横を向き、
窓を少し開けてやると、鼻を突きだして風の臭いを嗅いでいる。
各家の13カ所の庭に入って、樹齢二百年のものを見られた。
5カ所ほど、村の中を回った。
燃えるような小さい花をつけ、緑の葉は見えないほどだ。

notokirishima

「朝日があたらないと、木は伸びないね」とご主人が説明してくれる。
能登キリシマツツジは成長がとても遅いツツジだと教えてくれた。
それゆえ、家人が根気よく世話して、世代を継いで面倒を見て
きたものだ。冬は雪釣りをして枝が折れないようにしなければならない。
そういえば、枝は二百年経ったものでも幹は手首ほどの太さもない。
中には、白藤が咲いている奥に能登キリシマツツジの紅が見えて、
見事な対比を見せてくれる。

白藤と

ツツジも美しいが、訪れる家がすべて
広い庭、豪爽な屋敷であることに圧倒される。
十二単衣を根元に植え、綺麗な苔と岩。
恐ろしいまでに金がかかっているのだ。
能登でこんな裕福な土地があるのかと感じ入った。
「息子さんと同居なされているんですか」
「なあに、息子たちは東京だ。村は老人ばっかりだ」と答える。
息子さんは定年後に帰郷されるのだろうか。
それで、村には子どもたちの姿が見つからないのだ。
誰も遊んでいないし、駆ける姿も見えない。
金沢美大のY氏と夫人に遭う。能登キリシマツツジを見に来られたのだ。
六年ぶりで固い握手を交わす。退職されていた。
帰り途、連休で里山海道は車が混んでいると思ったが、
それほどではなかった。老犬は広がる日本海を見ていた。