小春日に眼閉じ死なむ、アンニュイを感じさせる言葉だ。

竹久夢二の短歌についての講演を聞く。

夢二の『山へよする』から「里居」の短歌十三首を

中西進氏が説明してくれた。

中西先生

彦乃への愛を象徴するような短歌群であると、言われる氏。

○湯涌なる山ふところの小春日に眼閉じ死なむときみのいふなり。

○さやさやに葉ずれの音の涼しさをそがひにききて我ら抱けり

大正デモクラシーが始まる頃の、愛の逃避行である。

親に反対されて、京から金沢へ。

自由恋愛の二十日間ばかりの湯涌で過ごした日々。

夢二の絵のように、優しげな歌である。

与謝野晶子のような激しさは感じられない。

女心が引かれるというのか、

気だるく、アンニュイに満ちながら、訴えてくる蜜のような言葉。

そのあと、太田館長が自ら、彦乃が締めていた帯に

密かに書かれたローマ文字を説明なさった。

北原白秋の邪宗門を思い出す。

龍之介の切支丹物といい、その時代の空気が求めていた一つでは。

白樺派も台頭していた。

邪とされる恋愛は秘め事を持ってこそ、

至上へと昇華するものだろうか。