題に惹かれて買って置いた河出文庫「狼が連れ立って走る月」管啓次郎氏を読む。
砂漠、高地、岸壁、草原と、地球の片隅をめぐる物語だ。
忘れられたように、空に浮かぶ村、アコマ。
断崖の上に、風とともに住む人たち。
そういえば、夜明けの水平線を最後に見たのは、何十年前だろうか。
心に残っている風景がぼんやり蘇ってくる。
その昔、北アメリカのポーニーインディアンは
シリウスを「死の赤い星」と呼び、「狼の星」と呼んだとか。
天の川を「狼の道」とも呼んでいた。
そして、スーインディアンは十二月の冷たい月を
「狼が連れ立って走る月」と呼んだ。
以前、感銘を受けた「我が魂を聖地に埋めよ」ディ・ブラウン著を思い起こす。
アメリカ・インディアン闘争史だ。フロンティア開拓の名で、
追いやられたインディアンたちの物語で、
以後、ニューシネマの西部劇を変えていった。
さて、狼は旅をし、霧のかなたに広がる生命の流れに従って生きる。
現代人が忘却した大地は、狼に学ぶべきものが多い。
久しぶりに不思議な空気をもたらしてくれた本だった。

庭の巣箱から巣立ったヤマガラの雛が網戸に来た。
2017-05-11 00.54.34のコピー