共同通信社の記者が書いた新聞記事を読んだ。
作家・村上春樹氏についてのものだ。
二月に発売された「騎士団長殺し」新潮社はまだ読んでいない。
多分、読まないだろう。彼の作品は随分読み、好きだが、
「遠い太鼓」以来、最近のものは手にしていない。
記事は「良い物語は人に力を与える。僕はそれを信じている」というものだった。
近頃の状況から、「歴史修正主義的な動きをすれば、
物語という形で闘わなければならない」
「アリスがウサギを追うようにどんどん筋を追って書く。
目を離したら、ウサギがいなくなっちゃうから、とにかく走る」と言い、
自分が文章を書くのは「宿痾だ」と言い切る。
その気持ちがよくわかる。戦場では、足が止まれば撃たれてしまう。
昔、昔、焚火を囲みながら話をしていたように、
読者は一緒に焚火を囲む人たちだとも言っている。
うまい比喩だ。彼のあったかい気持ちが伝わってくる。このような
村上春樹の言葉が好きだ。炎に手をかざし、ボソボソと語り合うひと時。
火が爆ぜる音を耳にし、どこか懐かしく、楽しく、心が安らぐ。
炎を見ると、心も温まるのはなぜだろう。
ところで、物語ってなんだろう。
物を考える力? フィクションの底力? それともエンドレスのストーリー?
終わりのない語りこそ、明日を語る「ラジカルな予言」のような気がするが。