雪冤
この言葉は恥ずかしながら、本を読むまで知らなかった。
「せつえん」と読む。無実の罪をすすぐこと。身の潔白を明らかにすること。
「雪冤」は大門剛明著。
黒人霊歌(Ride The Chariot)から始まるプロローグ、やがて、歌はストーリーに
響き渡っていく。死刑囚の息子は無実だという密告電話が入る。
青テントの浮浪者、牧師、鴨川と思われる土手や橋が描写され、京の顔が描写される。
犯人探しが迷路にはいこむように続き、しっこいばかりに犯人を追いかける筋書き。
どんでん返しがあまりに多いために、ややくどい仕上がり? 混線してしまう。
混乱ではなく、混線になっているが、太い線を追いかけると
楽しめる推理小説だった。
重いテーマを引きずりながら、緻密に計算された構成。緻密しすぎる感があるが、
通奏低音に流れる家族愛が愛しい。
メロスからの電話、そして、犯人はディオニスか。
追いかけると、逃げていく。ミステリーなら当たり前のことながら
まるでフーガの如しだ。読書している間中、
黒人霊歌がラストまで生かされ、頭に響き渡った。