盆が近づくと、つくつく法師が鳴き出した。

連日の猛暑だが、もうすぐ夏も終わりだろう。
このところ、日本は亜熱帯に入ったようだ。

夏、庭を見ていると…蝉の羽化を思い出した。

地べたに小さな穴を見つけると、水を注ぐ。
しばらくすると、蝉の幼虫が這い出てくる。
小さな斧を手にし、土をより分けて上がって来る。
やがて、近くの木枝や物に登り、
羽化がはじまる。小さな、縮み上がった羽が
五時間ほどかけてゆっくりと大きな、緑色の羽になり、
油蝉の場合はだんだん茶色くなっていく。
この緑色の羽はこの世のものとは思えない。
透明感のある、まるで天女の衣のようだ。
じっとしながら、暗闇の中で羽が伸びる。
朝が来る、それまでの時間だ。
土の中に七年。空や木を見て、一週間。
蝉の人生の短さと言うのは、人の頭で考えからに違いない。
最近は幼虫も羽化も、とんと見たことがない。
もう一度見たいと思う。
蝉の殻の白い部分を食べると、体が強くなると言われて、
脱皮した空殻を見つけては、その白い部分を口にしたものである。
カルシウムでも取れると思ったのだろうか。
これは、夏の神話の一つと言える。
日記帳にも出てこない、夏の秘密じゃないかな。
こういう秘密は楽しいね、あなたは何か持っている?
風が立つ前に…夏去りぬ、いざ生きめやもですかな。