竹西寛子氏の「五十鈴川の鴨」を読む。
老いを感じる年頃の男女を描いた短編集だ。
「五十鈴川の鴨」のストーリーはいいが、
ラストに原爆を引き合いに出したのは多少に容易だと思った。
それぞれ味わい深く、若い人が読んでもピンと来ない
かもしれない。その意味で、この小説は対象者となる読者が
限定されるのかもしれない。
いろんな人生を生きてきた人ゆえに、
日常の中に、いろいろ交差するところがある。
全短編に、妻を失った男、夫を失った女の物語。
磨き込まれた会話に、やるせなさと
心に落ちていく納得するものが感じられた。
考えさせるテーマで綴られているせいか、重い。
人をつなぎとめるものは何だろう。
たまにこのような重さに、頭を垂れるのも良い。