わたしの枕上で寝ているダンク。
彼は鼾をかく。またかなり臭う屁を音無くしてこく。
寝言だって謂う。寒いので、「の」の字になっている。
夜半、小用に起きるとむにゃむにゃと口を動かしている。
わたしの枕上で寝ている彼。小さな音が聞こえるときは
脚を嘗めている時だ。つい先だって、
ふと気配を感じて目をあけると、黒くて大きな顔が横にあった。
顎だけを蒲団の上にのせている。
時折、じっと闇を見つめているが、
どちらかといえば…彼は寝付きがいいから、羨ましくもなる。
一緒に蒲団に入って寝たいが、毛が抜けるので勘弁してもらっている。
この夏は彼もバテて、夜は玄関の石の上で寝ていた。
彼は不思議な番人であり、友人であり、息子である。
寒い夜、彼がいるだけで…安穏とした気分になる。
大きな犬ゆえの体温が感じられるからだろう。
夜中、彼はゆっくりとくるくると歩き、
また「の」の字になる。足か、腕がしびれたものだろうか。
溜め息もよくつく。情けない、むなしい顔をみせる時もある。
まるで、年老いた男のようである。
十年経って、やっと彼の素晴らしさがわかったのは、
わたしがいい加減な人間だからだろう。
わたしも彼も同じぐらいの齢であり、
付き合いが甘くなるのを押さえなければならない。
今日の朝方、ふと目を覚まし、三遊亭円生の「中村仲蔵」を聞く。
いい話だとつくづく感じ入る。

その後にダンクの夢を見た。
彼はくるくると回って、闇を見つめていた。
わたしの夢を察知して起きたのだろうか。
彼は人間が持たない六感を使う、魔法使いでもある。

ダンク