銀座のプロダクションに勤めていた頃、
昼飯を食べに二丁目あたりに出て、不思議な人にあった。
スカートをはいた半白の頭の男の人である。
今思うと、彼こそ「ととねえちゃん」の花山さんだったのだ。
『暮らしの手帖』の編集長・花森安治さんだった。
「男の人がスカートをはいてましたよ」
仕事場でそう言うと、「知っているよ。よく見かけるよ」と
先輩が教えてくれた。先輩も私も、どこの誰だか知らなかった。
さすが、銀座だな、と思っていた。
その連続ドラマ「ととねえちゃん」も終わった。
朝ドラは、戦前から戦後までのドラマが多い。
制作者に良識のある方がいて、戦争の悲惨さを何とか
柔らかく伝えようとしているのではないかと思われる。
あるいは昭和の時代に、ドラマを設定するに
ふさわしい激動の時代舞台だけなのかもしれない。
今回は、叔父さん、木場のお婆ちゃん、
星野君がちょい役過ぎたような気がする。
もう少し、関わって欲しいものだった。
もっとストーリーにこだわって欲しかった。
ただ、半年の台本では難しい長さなんだろうなあ。
主人公のととねえちゃんの歳の行き方が感じられなかった。
昭和20年代、30年代、さらに40年代への変化がよく
シーンに現れていなかったような気がする。
彼女を見ているといつまでも20代の女性のような気がした。
ラストは、やはり亡くなった父・西島君が出て来たか。
回想で終わらせるのが常套な運びなのだろう。
ととねえちゃん,ご苦労様でした。