と言ったって、何も捜しているわけではない。
さがしものをしている間に、月日は経っていく。

角田光代の「さがしもの」を読んだ。
「本」をめぐる短編小説集で、登場人物の大学時代とその後の青春を描いている。
なるほど、女性の感性はこれほど仔細に揺れ動くものなのかと言うのが実感。
男は、いや自分は気付かなかったと言うのは鈍感だったと言うことか。
そうか、そうだったのかと思い出される。
女性の思いは、女の人にとってはさがしものなんだろうな。
「彼と私の本棚」「不幸の種」「ミツザワ書店」「さがしもの」
「初バレンタイン」に、とりわけ氏の文章の上手さに惹かれた。
以前、氏の「平凡」を読み、感銘を受けていた。

「世にふるも更に時雨のやどり哉」
芭蕉が好んだ宗祇の句である。
総じて、青春は雨宿りするようなものに違いない。