ここ数週間、よく本を読んだ。
読むしかなかった。
顔をあげると、桜の花が咲き始めている。
山本益博氏の「桂文楽の世界」がよかった。
その間、「寒い国から帰ったスパイ」をBSで見る。
以前、本で読んだことがあったが、ストーリーは忘れていた。
ラストの余韻が素晴らしい映画だった。
昔のスパイ小説だけあって、007のようなハラハラ、ドキドキは
ないが、全体を流れる気だるさは一体なんだろう。
それも、心に穴を持つ人だけが共感できるものかもしれない。
風が吹くと、寂しい音を立てる。
どんよりと曇った北の空、薄い光、細く枯れた枝。暗い図書館。
その中で演じられていく。書いたのは、ジョン・ル・カレだ。
映画はモノクローム、リチャード・バートンが好演。
悲しい男のストーリーだ。ラスト、恋人がベルリンの壁を乗り越えようとして
射殺される。男は向こう側に一人で飛び降りようか、迷う。
西側に行っても、一人で寒々と生きていくことに疲れた男は
恋人が倒れる東側に飛び降りて戻る。
待っているのは、降りしきる雪と酒の日々だけでは
人は生きていけないのだろう。

庭に来たジョウビタキ。
落ち葉を掃いたら、虫でもいるのだろう。
早速、来た。尾羽を振りながら。
ジョビタキ